第19章 第十八話 本部襲撃
「そちらのおふたりはもうおわりのようですね」
「くっ…」
イノセンスを持たないラビと神田はやはりレベル4のAKUMAに太刀打ちできない。
AKUMAの攻撃をギリギリかわしながらユキサは反撃の隙を探しているものの、体力の限界も近かった。
ちらりと視線を向ければ、リナリーがヘブラスカにイノセンスを与えられるところだった。
「なにをみているのです?」
「しまっ…!」
ただでさえ弄んでいるような態度だったAKUMAが、ガッとユキサの首を掴んだ
最初から本気など出していないこのAKUMAに、一瞬でも隙を見せればやられる事くらいは理解していたはずなのに。
ぎりりとしまっていく感覚にユキサの意識が遠のいていく。
AKUMAがユキサの見ていた方を見た。
手にエネルギーを溜める。
やめてと思った時には、そのエネルギーがリナリーへと放たれた。
瞬間、どこからか矢が飛んできた。
AKUMAの攻撃と、矢がぶつかりあって爆発する。
衝撃でヘブラスカが手放し、リナリーが吹き飛ばされた。
どさりと誰かに抱えられ、リナリーがそっと目を開けるとそこには不二の姿。
近くにイノセンスが転がり落ちる。
「不二…!」
「大丈夫かい、リナリー?」
ありがとうとリナリーがお礼を言い、地に足をつけた。
イノセンスの方へ向かおうと振り向くと、そこには彩音の姿が。
彩音が手に持っている。
そして彼女の纏う空気がいつもと違った。
「…リナリー。あなたの覚悟を見せて」
「え…?」
彩音が手に持っていたイノセンスがリナリーの手に渡ると、イノセンスがごぽりと液体へ変化した。
爆風が晴れる前に、ドンッと衝撃が走った。
同時にAKUMAの手からユキサが離れる。
アレンウォーカー!というルベリエの声に、ユキサはうっすらと目を開けた。
仮面をつけたアレンがAKUMAと戦っている。
そのまま落ちた体は、ぬくもりに包まれた。