第19章 第十八話 本部襲撃
「どうするんだ、コムイ」
AKUMAが結界を破ろうとしている。
神田が少し焦ったように聞くと、コムイが決心したかのように口を開いた。
「各班班長へ!一度しか言わないのでよく聞いてくれ」
これより、僕の指示に従い各自班員を誘導し、方舟3番ゲートからアジア支部へ避難する。
我々がすべきことはイノセンスを守り、全滅を回避することだ。
「この本部から撤退する!!!」
「急げ!ゲートからできるだけ遠ざけるんだ!」
ファインダーたちがタリスマンを構えながらゆっくりと移動していく。
しかしその間にもタリスマンがひび割れていく。
「…歌姫<プリマ>発動…。彼の者に再生の光を『リジェネレイト』…」
「ユキサちゃん!?」
ゴホッと吐血したユキサにコムイが慌てたように声をかけた。
神田も駆け寄ろうとしたが、ユキサが手で制す。
AKUMAはコムイを狙っている。
完全に治癒しきれていない体では複数人は無理だが、コムイだけはと再生魔法を唱えた。
「ごめん神田…他はかける余裕が…」
「…いい。それ以上無理はするな」
『3番ゲートの間、中央出口封鎖。各班、指示通り避難を開始せよ』
「行ってください室長!ヘブラスカの所へ…イノセンスを!」
「どこへいくきですか?しつちょう」
ファインダーとAKUMAの言葉を聞きながら、コムイが昇降機を起動させる。
昇降機に乗った神田にコムイがハッと振り返った。
「君は避難!!」
「できるか」
「神田先輩も行くならオレも…!」
神田に続いて乗ろうとしたチャオジーだったが、コムイに処罰すると言われて身を引く。
「ヘブラスカのところには今俺の六幻もあるんだ。結界もそうもたねぇ…いざって時は俺が「それはだめ」ユキサ!!」
今はそんなこと言ってる余裕はねぇだろと言った神田へユキサが真剣な眼差しを向けた。