第19章 第十八話 本部襲撃
大丈夫、と答えてユキサは全体を見渡した。
アレンの傷も深く、ブックマンは石化が進行している。
そして団員たちはもっと致命傷を負っていた。
全員に癒しの言霊をかけたいのをぐっと抑えて、ユキサは不二にヒールをかけた。
瞬間、ユキサは首に痛みが走って顔を顰める。
「ユキサ?」
「今は全力で言霊を使えないの…」
彩音がユキサの様子に問えば、ユキサが悔しそうな表情をして言った。
無理をすれば再生魔法が解ける。
不二がありがとうとユキサへお礼を言って、元帥たちへと視線を向けた。
巨大なAKUMAたちが増えている。
しかし元帥たちが次々とAKUMAを倒していた。
特に元帥の1人、ソカロはAKUMAを倒すのを楽しんでいて、ティエドールが抱擁ノ庭を発動して、団員たちを守る。
クロスともう1人の元帥であるクラウドも応戦していった。
「さすがに強いね…元帥たちは」
「やっぱり力の差は大きいよね…」
倒されたAKUMAを見ながら言った不二と彩音の言葉に、ユキサもうんと頷いた。
全てのAKUMAが元帥たちによって倒された。
マリが司令部に連絡を取る。
その間、彩音と不二もアレンと共に団員たちの救助にあたっていた。
大量のAKUMAを倒したことにより、ガスが辺りに充満している。
「アレン」
「ユキサ?」
ちょいちょいと服を引っ張って、隅の方にユキサがアレンを引っ張っていった。
そうして小さくヒールと言霊を使って、アレンを治癒する。
「今はちょっと、全員回復させるのができなくて…」
ありがとうございますと言ってアレンが微笑んだ。
しかしその時、アレンの左目が反応する。
「アレン…?まさかAKUMAがまだ…」
「弱くてどこにいるのか…分からない…」
アレンが辺りを見回すが出処がはっきりしないようだった。
「とりあえずリーバーさんたちを先に避難させないと…」
「あ、それじゃぁ私がAKUMAを探してくるよ」