第18章 第十七話 帰郷
そう言ってティエドールがコムイを見ると、コムイはしばし考えた後にいいよと頷く。
その様子をラビがじ…と見つめていた。
ブックマンとしては行きたかったラビだが、ただでさえ4人行くのにあまり多くなるのは、と遠慮する。
「(ま、あとから彩音たちに聞けばいいさ~)」
「それじゃぁ行こうか」
コムイが4人を連れて、医務室を出た。
昇降機から地下へ降り、ヘブラスカの間に到着する。
そこには既に大元帥とヘブラスカが待っていた。
「おかえり、エクソシストたち…」
「ただいま、ヘブラスカ」
彩音が嬉しそうに返事をするとヘブラスカも少しだけ微笑んだように見える。
が、すぐに真剣な声音でユキサ、と呼んだ。
「色々と話は聞いている…。イノセンスをその身に取り入れることができ、適合者でもないイノセンスを、発動できるようだな…まずはそれを見せておくれ」
コクリと頷いて、六幻を発動する。
それを見た大元帥たちがざわついた。
「まさか、適合者でもないのに使えるとは…!」
「もしその謎が解明されれば、適合者でなくともイノセンスを使えるのならば…!」
その言葉に神田が小さく舌打ちをした。
神田の脳裏に忌まわしい過去が見え隠れする。
本音を言えば、ユキサたちの体質…特にユキサの体質は隠しておきたかった。
知られればきっと、ユキサたちは…。
ちらりと大元帥たちがいるであろう方へ視線を向け、神田は眉を顰めた。
「私は近くで神田の戦いをずっと見てました。そのおかげか使う事が出来ますが、あまり見たことがないリナリーやラビのイノセンスは発動できません」
「一度見なくてはいけないなら、やはり適合者は必須なのか…」
「しかしエクソシストが死んだ時には代えがきくと…」
「や、やめてください…!!」
言ってしまってから、彩音がハッと口を手で塞いだ。
すみません、と小さく謝罪した彩音の肩に、不二が手を置く。
先程から不快な事ばかり聞かされて、不二も腸が煮えくり返る思いだった。
そんな中、ユキサは特に気にもしていないかのようにヘブラスカへ状況を伝えている。
リナリーの場合は、イノセンス自体が変化しているからそのせいで使えないのもあるかも知れませんと、そう言ったユキサに、ヘブラスカがそっと触れた。