第18章 第十七話 帰郷
「うっ、うっ、うっ…!!!!」
「もう…泣きすぎよ兄さん…」
リナリーのベッドで、コムイの泣き声が響いていた。
それを見ながら彩音とミランダが苦笑する。
リナリーの髪が、AKUMAとの戦いで短くなってしまった。
その事に相当ショックを受けているらしいコムイはずっと泣いている。
「確かに、リナリーの髪は凄く綺麗だったよね」
「そうだよね彩音ちゃん!?世界一の美髪が…っ!!うわあぁぁあん!!」
「恥ずかしいこと言わないで!」
リナリーの言葉にだってだってと泣き続けるコムイ。
ベッドを汚すのなら出ていって下さいと婦長に言われて、更に泣き喚いた。
そんなコムイに、仕事いっぱいあるんでしょとリナリーが声をかける。
「元気になったらまた、コーヒー入れに行くから」
うん、とコムイが返事をして、リナリーの頭を優しく撫でた。
リナリーが嬉しそうに微笑む。
ようやく仕事に戻ろうと思ったのか、コムイが立ち上がった。
そうして彩音の方を向く。
「そうだ、彩音ちゃん。ヘブラスカに呼ばれているんだ。ユキサちゃんと不二くんを連れて一緒に来てくれるかな?」
「あ、はい…。でもユキサはまだ…」
「起きてるよ」
え?と彩音が振り返る。
いつの間に起きたのか、ベッドから体を起こしてこちらを見ていた。
いや、あれだけ騒がしければ目が覚めるかと彩音は思った。
「体は大丈夫?」
「全然平気。彩音も?」
「もちろん!」
それじゃぁ行こうか、と言ったコムイについて、ユキサと彩音は部屋を出た。
ぐるるるるる
ギュゴガガガガガピ
ドルルルルル
「ちょっとちょっと看護師さーーーーーーん!!!」
クロちゃんの腹がうるさくて寝れねェさーーーー!とラビが叫ぶ。
なにか食べてもらいたいが、クロウリーが目を覚まさないことには…と看護師も困っている。