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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第18章 第十七話 帰郷


それに美人になった、と言いながらクロスが椅子から立ち上がる。
その言葉に少し引っかかりを覚えた彩音だったが、そのまま2人の様子を見ていた。

「元帥は相変わらず神出鬼没。兄さん、ずっと探してたんですよ」
「シスコンは直ったのか、あいつ?」
「直るもんじゃないと思う…」

あれはもはや病気のレベルじゃないか、と少し失礼なことを考えながら言った彩音に、リナリーがくすりと笑った。

「そういえば…元帥は既に方舟に乗っていたって言ってましたが、いつから…?」
「お前達が城下で戦っている時だな」

実はあの場に俺もいた。
マリアの能力で方舟に侵入するベストなタイミングだったとクロスは言う。
自分たちが伯爵やノアの気を引いていたからなのか。

「だが、こんな美人たちがいるなら、もっと早くに出てくればよかったかな」

手に持っていたタバコを咥え直し、クロスがスッ…と両手でそれぞれ彩音とリナリーの頬を撫でた。
驚いて固まる彩音とは反対に、リナリーは褒めても何も出ませんよと軽くあしらっている。
ああ、これがクロス元帥なんだなと彩音は苦笑するしか出来なかった。

「…髪は惜しい。綺麗だったのに」
「…アニタさんにもそう言われました」

リナリーの言葉にクロスがハッと目を見張った。
大体の事情は江戸で彩音も聞いたので知っている。
船上で、辛い戦いがあったと。

「そうか。…何があっても後を追うなって言ったのに。いい女ってのは一途すぎるよな」
「…元帥…」

うっすらと涙を浮かべたリナリーが、そっと目を閉じたその時だった。



―――――バターーーーーン!!!!

背後の扉が大きな音を立てて開く。
驚いた彩音が体を揺らしたが、ああぁぁぁーーー!!!と叫び声を上げるアレンとラビに振り返った。
そこには大きく息切れをしたアレンとラビ、後ろにはユキサと神田、チャオジーもいる。

「犯罪です師匠ーーーーーーーー!!!!」
「遅かったかぁぁぁあ!!!!」
「うるせェ馬鹿弟子!!!16は立派な女だろうが!!!」
「もう、元帥!誤解を招くような言い方は…!」
「二股はよくないッスーーーー!!!」
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