第18章 第十七話 帰郷
「そういやさぁ…オレのイノセンス大破しちまったんだけど、大丈夫かなぁ…」
鉄槌の残骸が入った袋を手に、ラビがどんよりとした表情で言った。
その横で神田もどんよりしてるのを見て、ラビがユウも?と問いかける。
アレンが呑気にコムイが直してくれますよと言うが、そのコムイが問題だと2人は更に落ち込んだ。
スッとラビと神田にユキサが手を伸ばす。
「預かっておくよ。落としても大変だし」
「でも、欠片のままだけど吸収できるさ?」
多分出来ると頷いて六幻の欠片を奪い取る。
おい、と神田が止める間もなくその欠片はユキサへ吸収された。
次いでラビのも受け取って、吸収する。
「敵にも見つかりにくいし、ユキサの体も特におかしいところないんなら、意外と便利なもんさね~」
「…………」
「ユキサ、どうかしたんですか?」
手を閉じたり開いたりしているユキサに、アレンが不思議そうに声をかける。
六幻、発動…。
ぽつりとユキサが呟いた瞬間だった。
「え!?」
「なっ!」
光り輝いたかと思うと、ユキサの手には六幻そっくりの刀が握られた。
ユキサ以外の4人がぽかんと口を開けて、辺りが沈黙に包まれる。
「…発動できちゃった」
「…じゃねェ!いったいどうなってやがる!?」
「適合者以外が発動できるはずが…!!」
大混乱である。
混乱を招いた本人はというと、バッと羽を出現させて空へと飛んだ。
いつもやっている神田の仕草を真似して、刀身を指でなぞる。
「災厄将来、界蟲一幻!」
そうしてからブン!と刀を振れば、神田と同じように技を発動できる。
しかし威力や数は神田程ではないようで、ほぼ一瞬のうちに界蟲たちは消えてしまった。
ユキサの様子に呆気にとられている4人の元へ、降り立つ。
神田へユキサが六幻を差し出した。
「…………」
「持ってみて」
素直に神田が受け取ると、刀は瞬時に消えてしまった。
「なるほど。あくまでも本物じゃないわけさ?」