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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第18章 第十七話 帰郷


アレンに方舟を操作してもらい、こうして古い方舟は消えることダウンロードされる予定のものも全て残されたのだ。

「…アレンが何故、方舟を操作できるんですか?」
「…………」

その問いには、クロスは答えることはなく、リナリーも複雑そうな表情を浮かべていた。



「休んでなくてよかったのか?」
「うん、傷もだいぶ良くなってきたから」

街中を、神田とユキサが見回っていた。
どこか異変がないか、ノアが残っていないか…。
ユキサはたまに空を飛んで辺りを見回っている。

ふと、ユキサが神田へ視線を向けた。

「神田、ちょっと持ち上げるね」
「は?」

バサッと羽を広げて神田の背後に回る。
ユキサの言葉に気を取られて一瞬反応が遅れた神田は、宣言通りユキサに持ち上げられた。
ギュッと背中から抱きしめられ、抵抗する間もなく高い位置まで飛び上がったユキサに神田が眉を顰める。
なんなんだと呟いた神田に、ユキサが下を見るように言った。

方舟全体が見渡せる。
全体的に白を基調としてるこの町はとても儚げだった。
これが、方舟―――。

「神田にも見せたかっただけ。こういうのはなかなか見られないでしょ?」
「…。まぁ、そうだな」

普段なら興味はない。
しかしユキサが嬉しそうに笑うから、神田は少し恥ずかしそうに顔を逸した。
神田、とユキサが小さく呼ぶ。

「その胸の模様、大きくなってるね」
「……」

戦闘で服が破れ、見えている上半身を見ながら、ユキサが言った。
神田が自分からユキサに全てを話したことはない。
しかしユキサが神田の事に何かしら気づいている事は知っていた。
何も言わない神田に、ユキサがスノーベルを呼んで神田を持たせた。

「おいっ…!」
「神田、もう三幻式は使わないで」
「! ………」

神田の正面に周り、胸の模様に手を当てながら、ユキサが真剣な眼差しで言う。
分かっている。
今回のようにノアや強いAKUMAと戦うことになれば、使わざるをえない事を。
でも、それでも…命を犠牲にして戦うやり方はやめてほしいと。
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