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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第18章 第十七話 帰郷


曖昧に笑いながら謝罪し、飛んでいこうと考えた時、神田の手が伸びてきた。
膝裏に腕を差し込まれ、抱き上げられる。

「ちょ、ちょっと待って神田!?」
「うるせェ」
「私飛んでいけるし、神田も傷が…!」

黙れと睨まれる。
はい…と返事をするしか無いユキサの頭の中は正直大混乱だ。

「(なんだか目が覚めてから神田の過保護が増したような…)」

ちらりと神田を見れば、いつも通り無愛想な顔。
気恥ずかしい思いではあったが、神田が降ろしてくれないのだからこのまま甘えようとユキサは思った。

かつて入口だった方のドアを開く。
この部屋が修復されているならと町の方へ向かう事にしたのだ。

中に入り、暗い空間を歩く。
すると少し先に倒れてる2人の姿がうっすらと見えた。

「!! 彩音、不二!!」
「おい!」

気づいたユキサが慌てて神田の腕から降り、蹌踉めきながら2人へと近づいた。
2人の傍に膝を付き、深い傷を見て青ざめる。
すぐに癒やしの言霊を発動した。
くらりとした目眩に顔を顰めると、神田がユキサの肩を掴んだ。

「もう十分だ、やめておけ」
「うん…」

しかし傷はある程度癒やされたものの、未だ2人の意識は戻らない。
どうやって運ぼうかと考えた時、ユキサの団服からスノーベルが出てきた。
戦いの前にしばらく眠っているよう深く眠らせたはずだ。

「スノウ、起きて早々申し訳ないんだけど、彩音を運べる?」
「キュー!」
「神田は不二をお願い」

お前は?と聞かれたがユキサはなんとか歩けると答えた。
神田が不二を肩に担ぎ、スノーベルが彩音の背中辺りの服を咥える。
そうして暗い空間を歩き、見えてきた階段を上る。

階段の先には最初に来た町への扉がある。
近づくにつれて何やら叫び声が聞こえてきた。
料理の名前を叫んでいるこの声は…。

「ラビの…声?」
『まてよ、オレらが助かってんならもしかしてユウたちも…』
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