第17章 第十六話 ツインズ・ルーム
その間も不二は言葉を続ける。
「キミたちの『絆』はとても強いと思うよ。2人の息もピッタリだ」
「だから…それがなんだってんだよ!」
「でもね、この世界には絆よりもっと強いものがあるって知っているかな?」
ガッとジャスデビが不二の首を掴み、地面へと叩きつける。
次いで髪でその体を貫いた。
不二の髪の色が元に戻っていく。
それを見たジャスデビが首を掴んでいない方の手を大きく振りかぶった。
「そんなもん、知らねーよ!!」
「それは、ね…『愛』っていうんだよ…っ」
ドスッとジャスデビの背中に何かが刺さる感覚。
振り向けば、彩音の放った光の矢が、深々とジャスデビの背中に沈んでいた。
ドクン、とジャスデビの心臓が大きく鳴った。
「ぐあああああ!!!」
頭を抱えてジャスデビが不二から離れる。
その間に彩音が不二へと駆け寄った。
「周助!周助!!」
抱えた不二が、ゴホッと吐血した。
傷が治癒されていない…!?
髪の色がもとに戻った不二を見て、彩音がハッとした。
不二の治癒能力は、あの髪の色が変わった時だけ。
このままじゃ…!!
「ッ…彩音…!!」
不二の焦りを滲んだ声に彩音が振り返る。
ジャスデビの拳が、眼前へと迫っていた。
ドオォォン…!!と大きな音を立てながら、部屋が崩れていく。
顔を顰めながら、ジャスデビがよろよろと扉へ歩いていた。
彩音の放った矢から、体がイノセンスに侵食された。
そして不二のあの異常な力…。
もしもあれが解けなければ自分たちは負けていた。
「痛、い…。…ちょっと、休まないとね…」
互いの名前を呼び合い、分かれた2人の体が扉の中へと落ちて行った。