第17章 第十六話 ツインズ・ルーム
大きな地震と共に、扉が崩れた。
「はぁ、はぁ…」
ゴホッと咳き込む。
最後に受けた傷が深すぎて息を整えようとしても、動くことさえもできなかった。
傍に倒れている不二に、力を振り絞って這っていく。
「周、助…」
―――――私たちは、きっともう…。
不二の元へ辿り着けた彩音が不二の手を握った。
すると不二がうっすらと目を開けた。
「あぁ…彩音…。扉は…?」
「崩れたよ。直にここも…」
そうかと力なく不二の返事が返ってくる。
周助、と彩音が呼んだ。
「私たちの旅は、終わっちゃったね…」
「こ、のまま逝ったら…雪砂に怒られ、るだろうね…」
2人で生きて幸せになる事を決めた矢先にこれだ。
きっと自分たちの親友は、怒るだろう。
怒って怒って、それからきっと泣いて。
「世界は違うけど、雪砂と一緒の所に逝けるといいね」
ふっ…と笑った彩音に、不二も小さく微笑んだ。
壁が崩れ、地面に亀裂が走る。
ギュッと手を握り直して、不二が囁いた。
「彩音…愛、してるよ」
「私も…」
ずっと、愛してる。
ガラガラと地面が崩壊する。
いつかのこの世界へ飛んできた時のように…。
2人の体は闇へと落ちて、落ちて、落ちて。
そうして静かに、消えた。