第17章 第十六話 ツインズ・ルーム
「フフ…そうだね…必ず、勝って…」
グングニルを持ち直し、振るう。
ジャスデビの髪が切り落とされ、その場に不二が降り立った。
不二が離れたと同時に彩音の雷の矢が打たれ、彩音は不二に駆け寄った。
彩音の矢を避けてジャスデビは2人から距離を取った。
「周助、その髪…。それにその傷…」
「大丈夫だよ。意識もある」
ユキサや神田と同じように、傷が塞がっていっている。
それを見たジャスデビが、うげ…と不快そうに顔を歪めた。
「あんたさ、本当に人間?さっきから全然死なないし…」
もしかして、他の人間たちからドン引きされてたんじゃない?
その言葉に彩音はジャスデビを睨むが、不二はくすりと小さく笑った。
「僕自身も今知ったばかりだからね…でも驚いてはいるけれど、引きはしないかな」
僕たちは既に同じような人たちを知っているんだ。
彩音と不二の脳裏に、ユキサと神田の姿が浮かぶ。
傷ついても癒やされる、けれど痛みはそのままだ。
それでも、死ななければ戦える。
「あの2人の気持ちが、今ならよく分かるよ」
「周助…」
「彩音、勝つよ」
テニスの大会に出ていた時を、彩音が思い出す。
今とは全然違う光景なのに、何故思い出されたのか。
それは不二があの時と同じ表情をしていたから。
同じ言葉をかけてくれたから。
そして今なら、私も一緒に戦える。
うん、と頷いて2人でジャスデビへ視線を向けた。
「ところでさっきの言葉、そっくりそのままお返しするよ」
「なに…?」
「キミたちこそそんな体質、異常じゃないかな?」
ノアの一族なら仕方ないことかな?と黒い笑みを浮かべる不二。
一瞬表情が固くなったジャスデビは、すぐに深い笑みを浮かべて不二へと襲いかかった。