第17章 第十六話 ツインズ・ルーム
「本当に見えているんだ…」
リナリーとチャオジーの傍でアレンが呟く。
自分たちが相手をしている間、アレンにはリナリーとチャオジーを守るように言っていた彩音。
「あの矢がなんなのかしらねェけど…今はあの2人に任せておくさ」
バッと中央の台座にラビが飛び乗る。
天判!とイノセンスを発動し、辺りに風が吹き荒れた。
瞬く間に地面に落ちていた鍵が渦を巻いてラビの元へ集まる。
「頼みましたよ、ラビ…!」
ラビの周囲が無数の鍵に覆われた時、地面から全ての鍵が消え去った。
『この矢を渡しておくね』
『ユキサ?この矢は何?』
『ポーランドでのあの出来事の後から考えていた矢。…夢や幻を打ち消す矢なの』
最初の部屋で、ユキサと別れる時に渡された物だった。
自分がいる時は目を覚まさせる事が出来るけれど、いないところで何かあった時用にと言われた。
ただし…とユキサが言葉を続けた。
『これは、一度私の言霊で打ち消された人にしか使えない。つまりこの中では彩音と不二のみ』
アレンたちもそうだが、神田も結局あの時夢の内容を覚えておりユキサの言霊が中途半端にしか効いていないので、この矢は効果がない。
彩音は渡された2本の矢を見る。
『それからもう1つ。この矢は私の言霊を元に作ったものだけど完全に同じ効果ではないの。打ち消すとは言ったけど根本から消すことは出来ない。つまり…』
「幻と本物…両方が見えてしまう、ね…」
今のところ不便はないものの、彩音はユキサの言葉を思い出していた。
弓を構えて、ジャスデビに向けて打つ。
避けた所へ、不二が瞬時に近づいて2人を斬った。
「(浅い…!)」
「『笑ってる』×『けど』×『実はすっげー怒ってる時の』×『千年公』!!」
ジャスデビの言葉と同時に、千年伯爵が出現する。
ハッとして槍を構えた不二に、伯爵の大剣が振り下ろされた。
ガキィ!と受け止めた不二だが、力に押し負ける。
すぐに大剣を流して横へと避けた。