第17章 第十六話 ツインズ・ルーム
その場に崩れ落ちたアレンへ、ラビが声をかけながら走り寄る。
100…とボソボソ言っていたアレンが、急に黒いオーラを纏った。
「ひっ…アレン!?」
「たかが…100ギニーでしょう…?」
ギロリとジャスデビを睨むアレン。
僕の借金に比べれば…!という低い声に、一体いくら借金をつけられてるんだと一行は思った。
ここからはアレンが過去を語り始めた。
その日、幼いアレンがクロスのおつかいを終えて部屋へ戻ると、そこにクロスの姿はなかった。
ジャスデビの時と同じように、とある酒場で待つという書き置きだけ残されていた。
しかしジャスデビと違うのは…。
酒場で待っていたのは…女主人なんかじゃない。
それに借金も半端じゃない額だった。
仕事も大の大人に混じって大きな舟を漕ぐ仕事だ。
そこまでの重労働なら実入りもよかったのではないか、とラビは聞いたが…。
寄生型のアレン、更に働いた分だけお腹が減ってしまい食費もバカにならず、ほとんど稼げなかったと。
「100ギニーなんて、僕につけられた借金に比べたらはした金ですよ」
アレンの言葉にジャスデビが怒り出すが、アレンは構わず続けた。
「それに、師匠は悪魔みたいな人なんかじゃない」
「アレンくん…!」
何されても師匠の事は弁護するんですか!と心が広いと感動するチャオジー。
しかし次の言葉に辺りは再び凍り付く事となった。
「正真正銘の悪魔なんですよ!師匠と関わるんならそれくらい覚悟して行けってんだ―!!!」
虚しい空気が漂う。
クロスって一体どういう人なのか…。
しかしアレンやジャスデビの話からロクでもない人としか想像がつかなかった。
ティエドールが嫌がってたのも、納得がいく…と彩音と不二は思った。
「お、お前の借金なんて知ったことかー!」
「こっちの借金を払えー!!」
「誰かお前達の借金なんて!こっちの借金だけで手一杯なのにぃー!!!!」
バッとアレンが飛んでジャスデビに襲いかかる。
なんだろう、この戦い…。
銃声と衝撃が響き、戦闘が再開する。
しかし彩音と不二は呆然とその場に立ち尽くしていた。
ラビとアレンがジャスデビに向かっていく。
ジャスデビは次々と弾を変えながら、撃つ。
ふと、ジャスデビがリナリーとチャオジーに目をやり、赤ボムを撃ち込んだ。