第2章 第一話 黒の教団
何で亡霊がイノセンスと関係あるんですか?とアレンは神田に問う。
ユキサも不思議に思って神田を見るが、神田はアレンの問いにフン、と鼻を鳴らしただけだった。
あ!今馬鹿にしたでしょ!、してねぇ、とすぐにギャアギャア口喧嘩になった2人をどうしたものか、とユキサが見ていると、部屋の外から声がした。
「イノセンスのある場所には、奇怪な現象が起きるのです」
その声にアレンは立ち上がり、扉を開けて部屋を出た。
トマ、という名前のファインダーとアレンは、そのまま廊下で話す。
ユキサも部屋の外の会話を黙って聞いていると、神田が口を開いた。
「足手まといになりたくないのなら…。…無理はするなよ」
こくりと、ユキサは頷いた。
目的地に到着し、4人はマテールへと走り出した。
汽車に乗る前と同じように、足に羽を出して飛んでいるユキサを神田はチラリと見る。
通信機を手にしながら走るトマは、沈黙していた。
先程通信が途絶えてしまったため、急いでマテールに向かっている。
と、AKUMAの気配を神田とアレンが感じ取った。
アレンの左目が、赤く光り出す。
アレンがトマに左目の事を話していると、神田がボソリと言った。
「呪われた目、か。…始まる前に言っとくぞ、モヤシ。俺はお前のように甘っちょろい考えは持ってねぇ」
例え誰かが殺されそうになっても、任務遂行の邪魔だと判断したなら、見殺しにする。
変な仲間意識を持って感情で動くな、戦いに犠牲はつきものだ。
続いた神田の言葉に、嫌な言い方、とアレンはポツリと言った。
そうして4人は、マテールへと急いだ。