第17章 第十六話 ツインズ・ルーム
へ?とアレンが我に返る。
「ア、アアアアアレン!!!それ爆弾!!!!」
「早くなんとかするさああああ!!」
「どうやってぇぇぇ!?」
パニックになりながら叫ぶ周囲に、アレンが酒瓶を見て慌てだす。
咄嗟にラビがアレンに投げろと指示をし、ラビが見事にその瓶に向けてハンマーを振った。
「ナイスショットだね、ラビ」
何やら奥で悲鳴が聞こえたような気もしたが、無事飛んでいった爆弾に不二が呟いたのだった。
「でもなんでこの方舟の中に師匠の好きな酒が?」
まさかこの方舟の中にいるんじゃないか?とアレンが再び青ざめる。
そんなに会いたくないんだなぁと彩音が苦笑いをした。
先へと歩いていると、今度は鉄の柵が下りてくる。
ハッとした時には背後も柵が下りてきて閉じ込められてしまった。
「今度は何!?」
「皆、上を!」
天井には無数の針が。
そしてゆっくりと6人に向かって下りてくる。
このままじゃ串刺しに、そう思った時、パラパラとトランプが落ちてきた。
「え、トランプ?」
「今から言うカードの組み合わせを3秒以内に作れ」
「でないと、天井に串刺しにされちゃうよぉ~!」
スリーカード!
叫ばれた言葉にアレンが素早くトランプを掲げた。
「ア、アレン…凄い…」
「そういえばラビたちの話によれば、アレンはかなりカードが強いって言ってたね」
実際に見たのは初めてだが、機敏でプロの動きである。
彩音と不二がアレンに感服していると、次のフルハウスやロイヤルストレートフラッシュまで物凄い速さで揃えていった。
アレンの表情が少し黒い部分は、全員が見て見ぬふりをしている。
「こんなの楽勝ですよ」
「ハハッ、正解だけど天井落としちゃえ!」
聞こえた声に、ラビがイノセンスを発動した。
ハンマーを挟めて押さえ、その隙にアレンが鉄の柵を破壊する。
壊れた箇所から順番に脱出し、最後にラビが滑り込むように出てきた。