第17章 第十六話 ツインズ・ルーム
2人は既に経験済みなのだ。
特に彩音は直に体験しているのだから、この感覚が気の所為ではない事は分かっている。
考えてはならない事だが、これがユキサたちのイノセンスでなければいいのに…。
黒い思考に、彩音は首を振った。
「しっかし、どこまで続くさこの道は~?」
しばらく歩いているアレンたち。
ずっと同じ風景が続く道に、少し披露が見えている。
苦しさも落ち着いた彩音が、前方から転がってくる物に気づいた。
「なに?あれ…」
「酒瓶?」
なんでそんな物が、そう言った所で声が廊下に響いた。
「その中の1つに爆弾が仕掛けてありま~す!」
さぁどれでしょうか~?という楽しそうな声にえぇ!?とアレンが驚きの声をあげる。
ころころと転がってきた酒瓶を見て一瞬立ち止まっていた一行は、弾かれたように慌てて爆弾を探し始めた。
「は、早く探せレロ~!」
「そう言うなら君も探しなよ」
不二に鋭い眼差しを向けられて、レロが縮こまった。
アレンが1人、酒瓶を見て立ち尽くしている。
酒の銘柄が、全て見覚えがある。
青ざめてそう言ったアレンに、リナリーがえ?と振り返った。
「確か、どれも師匠に買いに行かされた酒ばかり…」
それも全部ツケで…!!
ゴオオ!とアレンの周りに火が立ち上る。
あれは辛いおつかいでした…とアレンが語り始めた。
お店ではすでにツケがたまりまくっていて、お前に渡す酒はないと断られ…。
でも買って帰らないとクロスに怒られる。
そこを拝み倒してお願いして、やっと買って帰れた酒たち。
壮絶な過去だがしかし、そんな思い出に浸っている場合ではないよと不二が言った。
しかしアレンの目は据わっており、不二の言葉は届いていない。
「その中でも一番高かった酒は…」
これだ!と1つの酒瓶をアレンが取った。
カチカチと音がし、チャオジーがそれですううう!!と叫んだ。