第16章 第十五話 スキン・ボリック・ルーム
「だから言っただろ。己を斬り、己の力を防ぐたび、お前らの体に己のエネルギーが流れ込むってな。どうだ?体の内から貫かれる感触は?」
楽しそうに言いながら、スキンが2人の鎖を引っ張り上げる。
かろうじて意識のあるユキサが羽を使ってスキンの力に逆らい、神田を引き寄せ抱きしめた。
「神罰!!!」
そうして鋭い雷の柱が、2人の体を貫いた。
沈黙した2人に死んじまったか?とスキンが笑う。
しかし神田がハッと意識を取り戻し、舌打ちをした。
俺は、死なない…。
死ねないんだ…!
意識を失ったユキサが手から滑り落ちる前に抱え、神田が六幻で鎖を斬ろうとする。
だがその鎖は斬れない。
スキンはそのまま鎖を引っ張って2人の体を岩へと叩きつけた。
ユキサの強化と再生魔法は先程のスキンの一撃で既に解けてしまっていた。
傷を負いながらも六幻を突き立て、神田が体を起こす。
「終わってんだよ。お前は己より速いが馬力は己の方が圧倒的に上…この状況で万にひとつもお前に救いは無い」
剣術は間合いで攻撃が決まる。
鎖に振り回され間合いのとれないお前の剣などただの棒っきれだ。
終わりだエクソシスト。
ぴくりと、ユキサの体が震えた。
ヒールと声が聞こえると、神田の体が光に包まれる。
「まだ…終わってない」
ユキサが体を起こして、スキンを睨みつけた。
神田の目も、まだ光を失っていない。
―――まだ…あんな目を…?お前らは、死が怖くないのか!?
スキンがわずかに狼狽える。
『君は、死が怖くないのかい?』
とある病室で、コムイが神田に問いかけた。
『俺は死なない。もう傷も治った』
『以前よりも、治るのが遅くなっているんだよ』
『治れば問題ない』
『けど時間がかかるようになってきた。って事は…ガタが来始めているって事だ』