第15章 第十四話 江戸
「づ、潰れるうぅぅぅーーーー!!!」
「皆、大丈夫!?」
彩音が駆け寄ってくる。
一緒に落ちたはずだが、どうやら不二が彩音だけ引き寄せて安全な場所へと降りたようだった。
さすが、抜け目ない…とラビが引き攣った笑みを浮かべていた。
「なんだこの町は…」
辺りを見回しながら言った神田に、アレンがここは方舟の中だと答える。
なんでそんなところにいるんだ、しりませんよとすぐ喧嘩が始まるアレンと神田をよそに、ユキサがリナリーの下で潰れているかぼちゃの傘を見つけた。
「どけレロ!クソエクソシスト!ぺっ!!」
「「お前の仕業か…」」
傘に向かってアレンと神田が得物を向ける。
キャーーー!と悲鳴をあげた傘に早くこの空間から出せと脅す2人。
すると傘から不気味な声が響いた。
『舟は先程長年お役目を終えて停止しましタ。ごくろう様です、レロ。出航ですエクソシスト諸君』
―――――お前達はこれより、この舟と共に黄泉へ渡航いたしまぁース!
伯爵の言葉と共に、突然辺りが崩れ始めた。
「な、なにっ…!?」
「危ないですヨ。ダウンロードが済んだ場所から崩壊が始まりました。この舟はまもなく、次元の狭間に吸収されて消滅しまス。あと3時間、それがお前達がこの世界に存在してられる時間でス」
伯爵の言葉に全員は絶句した。
出口はない、そして残された時間はたったの3時間。
「可愛いお嬢さん、良い仲間を持ちましたネェ。こんなにいっぱい来てくれテ、みんながキミと一緒に逝ってくれるから、淋しくありませんネ」
ギリ、とリナリーが歯を食いしばる。
まさか一度に全員消そうとするなんて…。
これじゃぁリナリーのイノセンスを回収した意味がない。
ユキサも忌々しげに小さく舌打ちをした。
「どんどん崩れてる!この場から離れないと…!」
「どこかに外に通じる家があるハズですよ!僕、それできたんですからっ」
不二とアレンの言葉に全員が走り出した。
しかしレロと呼ばれていたかぼちゃの傘が無理だと言う。