第15章 第十四話 江戸
「大丈夫。リナリーのイノセンスが私の体内に入ってるのが分かるよ」
ヘブラスカに届けるまで、私が守るね、とユキサは笑った。
「リナリー、足の方はどう?」
「凄く軽くなったわ!1人でちゃんと立てるもの」
その場に立って、足をとんとんと軽く地面を蹴る。
ありがとうとお礼を言ったリナリーに、ユキサは軽く頷いた。
「行きましょう、リナリー!」
嬉しそうに言ったアレンへ、リナリーが駆け寄ろうとしたその時だった。
『見つけたレロ!!』
バチッという音と同時に、リナリーの足元にペンタクルが出現する。
ペンタクルから、伯爵が持っていたかぼちゃの傘が顔を出し、リナリーを引きずり込んでいった。
「リナリー!!」
バッとユキサが羽を出現させて引っ張ろうとしたが、そのまま一緒に引きずり込まれた。
「リナリー!」
「ユキサ!!」
「いかん!狙いはリナリーだ!」
止めろ―――!!とティエドールが叫んだが、リナリーとユキサの姿はそこには既に無く。
アレンと彩音も手を伸ばしたが手を取ることができず、引きずり込まれていく。
次いでラビと不二が走り、神田とチャオジーもペンタクルの中へ飛び込んでいった。
「そんな…皆…!!」
ミランダがその場に膝をついたとき、あれはなんだ!?と背後で声がして振り返る。
江戸の空に、光り輝くキューブが出現していた。
ミランダの傍で、ブックマンが何語か分からない言語でポツポツと喋りだす。
「(ブックマン…何か言ってる…?)」
『ノアの方舟、出現…7人のエクソシストの行方は、おそらく―――』
「うわあああああ!!」「きゃああああ!!!」
悲鳴とともにドサリと地面へ体が叩きつけられる。
リナリーを羽で包みながら抱きしめたユキサを潰さないようにアレンが手を付きふんばり、その上にラビ、神田、チャオジーが落ちてくる。