第2章 第一話 黒の教団
「やめろよバズ…」
先程怒鳴ったのであろう人物はファインダーの1人だった。
仲間が止めに入っているが、怒りは収まらないようである。
後ろ姿を見て、あの人は…とアレンが呟いた。
(神田さん)
心の中でユキサも呟く。
「うるせぇな…。食ってる時に、後ろで死んだやつの話でめそめそされちゃ、飯が不味くなるんだよ」
「テメェ…!それが殉職した同士に言うセリフか!?」
ざわざわと周囲も騒ぎ始める。
アレンが歩き始めたので、ユキサも後についていった。
「俺たち、ファインダーは…っ!お前たちエクソシストの下で、命がけでサポートしてやってんのに…!それを…、それをーー!!!」
怒りが頂点に達し、神田に拳が降りかかる。
がしかし、神田はするりとそれをかわすと、自分よりも大きめな体のファインダーの首を、軽々と締め上げた。
「サポートしてやってるだ?違げぇだろ、サポートしか出来ないんだろ!お前らはエクソシストになれなかった。イノセンスに選ばれなかった外れ者だ!ファインダーくらい、代わりはいくらでもいる。死ぬのが怖いなら…出てけ!!!」
神田の言葉に周囲も我慢できなくなったのか、神田へ襲いかかる。
ダッ、とアレンが駆け出した。
ーーーーーガシッ。
「ストップ!…関係ないとこ悪いですけど、そういう言い方はないと思いますよ」
アレンが神田の手を掴んだ。
神田は心底嫌そうに、離せよ、モヤシと呟く。
モヤシ?アレンです、と言い返しながらアレンは神田を睨みつけた。
ユキサは倒れ込んだファインダーの元に駆け寄った。
大丈夫ですか?と口を動かしながら触れようとすると、パシッと手を跳ね除けられる。
神田がその様子を横目で見て、何か口にしようとした時だった。
「ほら、あそこよ、リーバー班長」
「アレーン!神田ー!ユキサー!」
食堂の入り口からリナリーとリーバーの声が聞こえ、3人は司令室に向かう事となった。
司令室に入ると、薄暗い中、机に突っ伏しているコムイが居た。
リーバーが近づき、肩を揺らして起こそうとするが、なかなか起きない。
と、耳元でリーバーが囁いた。