第2章 第一話 黒の教団
「リナリーちゃんが…結婚するってさ」
「リィィナリィィ~~~~!!!!」
ガバッと起き上がり、リナリーに抱きつくコムイ。
わんわん泣きながらあーでもないこーでもないとシスコンっぷりを発揮するコムイに、3人は呆れ顔。
このネタしか起きねーんだとリーバーはもう慣れているようで、ため息を付きながら言った。
「さて。時間がないので大筋を聞いたら3人には出発してもらう」
「3人!?!?」
リナリーにゲンコツされたタンコブを帽子で隠しながら言ったコムイ。
その言葉にソファに座っているアレンと神田の声が被った。
こんな呪われたやつも!?と言う神田の言葉にアレンが睨みつける。
フン、と顔を背けた神田と沈黙するアレンの間には困ったような表情をしたユキサが座っている。
「なになに~?もう仲悪くなっちゃったの?君ら」
2人の空気に、コムイが楽しそうに言えば、出会った時があれだったから、とリナリーがきっぱり言い放った。
ぐっ…と言葉を詰まらせたが、わざとらしく咳払いをしてコムイが言葉を続ける。
南イタリアでイノセンスが発見された。
しかしAKUMAもそれに気づいたため、早急に現地へ向かい、イノセンスを保護する事。
今回、アレンとユキサは初めての任務、という事で神田が面倒を見る形になる。
「ユキサちゃんはまだ本調子じゃないだろうから、あまり無理はしないようにね」
ユキサがこくりと頷いたのを確認すると、それじゃぁ詳細は行きながら資料を読むように、とコムイは言った。
初任務に行く前、ユキサは部屋と食堂に寄って、急いで出発の準備をする。
支給された団服はとりあえず仮のものでリナリーと同じデザインのもの。
後にユキサのサイズに合わせた特注の団服が届く予定だ。
教団へ来た時の地下水路に降りると、すでにアレンと神田が待っていた。
「…遅ぇ」
ごめん、と口を動かした時神田が何か言おうとしたが、そこにスノーベルが飛んできた。
パタパタとユキサの周りを嬉しそうに飛んでいる。
横からアレンの、ティムキャンピー!と呼ぶ声がした。