第2章 第一話 黒の教団
(どこいったんだろう…)
考えて、アレンと一緒に居たゴーレムの姿を思い出した。
神田に斬られそうになっていたあの状況ではっきりとは思い出せないが、スノーベルと姿が似ていた気がする。
(もしかして…アレンのゴーレムと一緒にいるのかな…)
うとうとと、瞼がゆっくりとおりていく。
長旅の疲れからか、そのまま眠りへと落ちていった。
次の日、欠伸をしながらユキサが部屋を出ると、ちょうどアレンも部屋から出てきた所だった。
同じ階層で、中央の吹き抜けを挟んで真向かいの部屋同士だ。
声はまだ出ないので、ユキサはアレンの方へ駆け寄った。
「あ、おはよう、ユキサ」
おはよう、と口を動かすと、アレンはにこりと微笑んだ。
アレンが食堂へ一緒に行こうと誘ってきたため、ユキサは頷いた。
食堂へ入ると、美味しそうな匂いと共に聞こえてくるのはとても騒がしい声。
料理人であるジェリーが慌ただしく動き回っていた。
アレンと共にジェリーの元へ向かうと、ジェリーは目を輝かせながら2人に声をかけてくる。
「あら~~~ん!もしかして、新入りさ~~ん?こりゃまた可愛い子たちが入ったわね~!」
「は、初めまして!アレン・ウォーカーといいます!!」
ジェリーの勢いに、礼儀正しく自己紹介をするアレン。
すぐに、こっちはユキサです、と自分の紹介もしてくれて、ユキサも丁寧にお辞儀をした。
何でも作るわよ~と注文を聞いてくるジェリーに、それじゃあ…とアレンは口を開いた。
「グラタンとポテトとドライカレーと、麻婆豆腐とビーフシチューとミートパイとカルパッチョとナシゴレンと、チキンにツナサラダとスコーンと、クッパとトムヤムクンにライス。あと、デザートにマンゴープリンとみたらし団子を…20本!」
あんた…そんなに食べんの…?と呆れたように呟くジェリー。
はい!と返事をしたアレンが、ユキサにも何を注文したいか聞く。
小さく細いユキサを見て、ジェリーはいっぱい食べるのよ~と張り切っていた。
しかしあまり食べた事がない料理ばかりで困っていると、突然食堂内に怒鳴り声がした。
ガターン!!と大きな音も響く。