第15章 第十四話 江戸
発動させた大鎌を、ユキサがノアへと振り下ろす。
「おわっ!?なんだよ、本当に客が多…ん?」
「許さない、絶対に…!!!!」
ティーズで大鎌を受け止めながら、ノアがユキサを見る。
ユキサの赤い双眸に睨まれながらにやりと笑った。
「へぇ…あの時の嬢ちゃんじゃねぇか!」
「ッ……!」
ガンッ!と大鎌を弾き返される。
反動でよろけたユキサにノアの手伸ばされた。
だがその手が届く前、神田が斬り込んでくる。
「うおっ!?こいつ、めっさ速っ…!!」
後退しながら回避しても、神田が物凄い速さで連続で斬り込んでくる。
戦っていた屋根から降りたノアが後退しながら、やがて灯籠に背をついた。
その隙を逃さず神田が六幻を突きつけたが、ノアは灯籠を通り抜けてリナリーを手放す。
神田が咄嗟にリナリーを抱えた時、灯籠を通り抜けたノアの後ろからユキサが大鎌を振り下ろした。
「ちょっ…二対一は卑怯でしょ…!」
「人質を取ってたあなたがよく言う」
避けたノアに向かって、ユキサは斬撃を飛ばした。
それをティーズを纏った拳で打ち落とすノアだったが、斬撃と共にユキサが突っ込んでくる。
大きく鎌を振り上げた姿を見てティーズで防ごうとノアが手を掲げた時、ユキサの手からフッと鎌が消えた。
「なにっ…!」
鎌を振り下ろすフリの勢いのまま一回転し、ユキサは羽を生やした足で踵を落とした。
驚きに一瞬弱まったノアのティーズが破壊されるのを見て、瞬時に大鎌を出現させて横一閃に振る。
間一髪でそれを避けたノアだったが、斬撃の余韻で胸が裂かれた。
「…やるねぇ、嬢ちゃん」
あの頃よりも随分強くなったもんだ、と笑うノアを、ユキサは睨み続けていた。
普段こんなにも激情を露わにしないユキサがここまで怒っているなんて。
神田が様子を窺っていると、その理由が明らかになった。
「…。私はあなたを許さない。よくもデイシャを…アレンを…!!!」
やはりな、と神田は思った。
相手のノアもユキサを知っているようだったし、ユキサのこの怒りは…。
ふっと笑ってノアがユキサへ向けて地を蹴った。