第15章 第十四話 江戸
「ユキサ…」
「彩音!ラビたちを!」
不二の言葉に、ユキサと神田の戦いの様子を見ていた彩音がハッと振り返る。
オオオオオオ…!!
不気味な唸り声と共に、巨大なAKUMAの腕がラビに振り下ろされた。
「聖人ノ詩篇<ノエル・オルガノン>!!」
響いた声と共に、巨大なAKUMAの動きが止まる。
彩音がラビへと駆け寄った。
「ラビ!大丈夫!?」
「彩音か…!来てたんか…」
助かったさー!と彩音に抱きつこうとして、不二に蹴られるラビ。
文句を言いながら立ち上がるラビに、不二は鋭い眼光を向けてちょっと足が滑ったと答える。
苦笑いをしながら彩音が不二を落ち着かせた所で、3人は巨大なAKUMAを見た。
「あれ、すっごい硬いんさ!どうやって倒すか…」
「…周助。いけそう?」
「もちろん」
僕を誰だと思ってるの、と不二がくすりと笑った。
困惑しているラビをよそに、彩音と不二は頷き合う。
そして不二がAKUMAへと走り出した。
「裁きの矢よ、降り注げ!『ホーリーレイン』!!」
巨大なAKUMAへ向かって降り注いだ光の矢。
それらは走っている不二にも降り注ぎ…。
彩音のその攻撃を回避し、空高く飛んだ。
そのまま槍を大きく構える。
「不二!そんなんじゃ貫けねぇ…」
ぞ、とラビが言った時には不二の槍はAKUMAの脳天から突き刺さった。
そのままAKUMAの体は突き破られ、不二が飛んで避けると爆発した。
ラビは不二を見て口をあんぐりと開けている。
「ふ、2人とも強いさ…」
「なかなかやるな」
近くにいたクロウリーも感心したように呟く。
とん、と彩音の近くに降り立つと、不二がにこやかに言った。
「彩音、タイミングバッチリだったよ」
「周助こそ、怪我をしなくて本当に良かった」