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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第14章 第十三話 白銀の記憶


そんな2人をよそに、小さく俯いていたユキサが、こくりと頷いた。

「リナリーが…レベル3と思われるAKUMAと1人で戦って、無茶な開放をして…」

相打ち覚悟の戦闘を仕掛けた。
無事レベル3は倒せたとユキサは言った。
だが見えたのはそこまでで、その後リナリーがどうなったのかはわからない。

「だけど、イノセンスが失われた感じがしないの。もしかしたらリナリーも…」

イノセンスが、守ったかもしれない。

ユキサの言葉に彩音も頷いた。

「私も、胸の苦しさがあったけど何かを失った感覚はなかった」

不安そうにしているユキサの手を、彩音が強く握った。
大丈夫、リナリーは強い。

―――――だから、大丈夫。

「…。早く、江戸で皆と合流したい」

ぽつりと、ユキサが言った。
アレンも、リナリーも、命がけの戦いをしていた。
他の皆も、きっと大変な思いをしている。

皆と戦いたい。助けたい。

「それじゃあそれまで、しっかり体力を温存しておかないとね」
「そうだよね!ゆっくり休もう」

彩音が不二に同意し、不二にもたれかかった。
それを見て神田とユキサが呆気にとられる。
さっきまで恥ずかしげもなく自分たちがやっていたことなのに、何だその反応は。

「ユキサも仮眠取った方が良いよ!」
「え?あ、あぁ、うん…」

少しだけ悪い顔で笑う彩音にユキサがどうしたものかと考えて、とりあえずそのまま目を瞑る事にした。

数分後、結局ゆらゆらと安定しないユキサの頭を、小さくため息をついて自分の方に寄せる神田。
気を失ってから若干発熱しているユキサの額を、神田が確認するように触れている。
それを見て、寝たふりをしていた不二がくすりと笑ったのを、神田は見逃さない。

「………」
「なんでもないよ」

不機嫌そうに何か言おうとした神田を遮るように、不二は今度こそ仮眠を取ろうと大きく息を吐いた。
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