第14章 第十三話 白銀の記憶
空では大鎌でAKUMAを斬り裂いているユキサと、神田の姿がある。
程なくしてAKUMAたちが全て消滅すると、神田が船へと降りてきた。
フォースフィールドが解け、ユキサも降りてくる。
「さすがは4人だねぇ」
ティエドールが船室から顔を出した。
不二も無事だよと言うと、彩音が船室へ入る。
「彩音…大丈夫だった?」
「周助こそ!」
手を取る2人からパッと視線を外す周り。
所構わずイチャイチャしやがって…と船員たちは思っていた事だろう。
慣れているティエドール一行はいつもの事だと気にしてはいなかったが。
「お前も休んでおけよ」
「そうだね、少しだけ」
船室に入ってユキサは椅子に座る。
戦えるのが自分たちしかいないのだから体力を温存しなければ。
「そういえば…新しい団服動きやすいよね」
「そうだね!前はスカートだったもんね~」
え?そうだったんですか?と船員たちが会話に加わる。
今ユキサと彩音はショートパンツを履いているのだ。
ユキサは大きなフードマントを普段は羽織っているが、戦闘になると邪魔なのでマントは脱ぐ。
彩音はショートパンツの上にぐるりと腰布が巻いてある。
「私はスカートでもよかったんだけど…」
元々ひらひらしたものが好きなユキサが言うと、船員たちがユキサの方を見た。
―――――スカートで…空を飛んでいた?
ごくりと喉を鳴らし、邪の妄想へ旅立ちそうになった船員たちは、カチャリという音にハッと我に返った。
神田が六幻に手をかけて船員たちを睨み見ている。
ひぃ、と怯えた船員たちが明後日の方向を見てごまかした。
「前よりも丈夫になってるみたいだし、これからの戦いにありがたいね」
「神田と不二のもデザインがかっこいいよね」
じぃ、と見られて神田はあまり見るんじゃねぇよと視線をそらす。
照れる神田、珍しい~と彩音は心の中で呟いていた。