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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第13章 第十二話 東へ


と、彩音がハッと我に返った。
今の状況に、わなわなと震え出す。

不二にベッドを譲って、自分は布団で寝るはずだった。
なのに今、自分は不二に抱かれながらベッドで寝ているではないか。

「(どうしてこんなことに!?き、昨日どうしたんだっけ!?!?)」

混乱する彩音が必死に昨夜の記憶を呼び起こす。

不二に優しく口付けられた後、ベッドに押し倒された。
反動で唇が離れ、驚いた彩音が起き上がる隙を与えず、不二はそのまま深く彩音に口付けた。
息も絶え絶えになったところで唇を離され、見おろされたところまでは覚えている。

だが、その後の記憶がない。

「(いいいいや!!服着てるし、大丈夫だよね!?)」

青くなったり、赤くなったり、忙しい彩音。
くすくすと頭上から笑い声がする。

「しゅ、周助!?起きてたの!?」
「少し前からね」

おはよう、と額にキスを送られる。
ボン!と赤くなる彩音を不二は可愛いなぁと呟きながら見ていた。

―――なんだろう、スキンシップが激しい気がする…。

「昨日は何もしていないよ。彩音が意識を飛ばしたからね」
「へっ!?」

キスだけ、と言った不二から彩音は視線をそらした。

「な、ななななん…!」
「でもこれからは遠慮しないから」

覚悟しておいてね、と不二が彩音の頬に手を添える。
不二から送られた言葉と甘いキスに、彩音は頭が痛くなった。

そうして彩音がユキサへ助けを求めに神田の部屋に入った時だ。
更に彩音は頭が痛くなってその場に膝から崩れ落ちた。
どうしたのかと不二が神田の部屋を覗くとそこにはユキサを抱いたまま寝る神田の姿。

「…何の用だ」
「ごめん、なんでもないよ」

不二が少しだけ笑いながら起きた神田にそう返事を返すと、彩音を引っ張って部屋を出ていった。
神田は閉じられた扉を見ていたが、ユキサを抱き直すとそのままもう一度目を瞑った。
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