第13章 第十二話 東へ
「…なら、一緒に寝るか」
弾かれたように神田を見るユキサの目は驚きに見開いていた。
「な、なな、なにを…」
言って…と少し顔を赤らめるユキサを見て、神田も視線をそらした。
俺も何を言ってるんだ…。
沈黙が流れる。
と、ぐいっと神田がユキサを押した。
わっ…!とベッドに落とされたユキサが反論する間もなく、さらに壁側へと押される。
「ちょ、ちょ、ちょっと神田!?冗談だよね!?」
「俺を休ませたいなら黙って寝ろ」
六幻をベッドサイドに立て掛け、神田もベッドの中へ横になる。
「もうちょっと壁に寄れ」
「いや、あの、神田…狭いし私おり「言う通りにしろ」…はい…」
元々一人用のベッドのため、2人が眠るには当然狭い。
もうユキサを離す気がないのか、神田はユキサを抱きしめた。
背後は壁、目の前は神田。
俯くユキサの頭はパニックを起こしている。
こんな状態で…眠れるはずが…!!
そんなユキサを見て神田がふっと小さく笑った。
笑った?とユキサが思わず顔をあげると、優しく目を細める神田と目が合う。
神田がゆっくりとユキサの頭を撫でた。
「あいつらは強い。大丈夫だ」
だから心配するなとユキサの頭を撫で続ける。
―――――ユキサの瞳から、涙が流れた。
不安が取り除かれていく、神田の優しい手。
この手がずっと私のものならいいのに。
少しだけチクリとした胸を感じながら、ユキサは眠りに落ちていった。
「ん…」
窓から差し込む朝日に、彩音がうっすらと目を開ける。
カーテンを閉めていなかったせいで朝日が眩しい。