第13章 第十二話 東へ
研究員の言葉に絶句する。
実験…やはりここでは――――。
思わず六幻に手をかけそうになった神田を、ティエドールが制した。
「ありがとうございました。…これから日本へ渡るのですよね?」
「あぁ、そうだね」
促されて、一行は昇降機で地上を目指した。
半分くらい昇った、その時である。
大きな爆発音と共に、昇降機が揺れる。
倒れそうになる彩音を不二が支えた。
何事だと研究員が辺りを見回した時、警報が鳴り響いた。
「AKUMA接近!AKUMA接近!!」
「なんだって!?エクソシストは!?」
無線を手に取り、慌てたように研究員はどこかへ連絡している。
ユキサがバッと羽を広げた。
「ユキサちゃん!神田も連れていきなさい」
先に地上へ出ようとしていたユキサにティエドールが声をかけた。
そういえば一緒にいろって言われてるんだった、と神田を後ろから抱え上げる。
「行くよ」
あぁと返事を聞いたユキサがぐんと神田を引っ張り上げる。
物凄いスピードで地上まで上がった2人を見ながら、マリ、彩音、不二もイノセンスを発動させた。
「まだ来ていないのか…チッ…」
「僕たちが戦います」
ありがとう、とお礼を言う研究員の表情は曇っていた。
「おろせ」
神田に言霊を使ったユキサは言われた通りに神田から手を離す。
瞬間、神田が六幻を抜き、界蟲一幻を放った。
ユキサも大鎌を発動し、そのまま空中で戦う。
しかし3つ同時発動は体への負担が大きい。
ある程度空中戦を終えた所で、地上へと降り立った。
彩音と不二が近づいてくる。
ティエドールたちが地上へ着いたことを確認すると、ユキサが改めて言霊をかけ直した。