第13章 第十二話 東へ
そうして現在、東へ向かっているところである。
途中、教団のサポーターと会い、団服を受け取る予定だ。
汽車の窓から外を見ながら、彩音がぽつりと呟いた。
「凄いなぁ…軍事国家って言われてるだけあって、要塞も戦闘兵器もいっぱい…」
空気が良くなさそうだなぁなんて呟いていると不二がくすりと笑った。
「AKUMAもあんまり出ないね」
「AKUMAに対抗する武器も戦力もかなりあるからだろうな」
だけど、これから向かう江戸はこことは真逆だ。
今まで以上に気を引き締めなければ、あっという間に命を持っていかれる。
「…無理はするな」
「大丈夫だよ、無理はしない」
にっこりと微笑むユキサに、神田は不安が拭い去れなかった。
そうして教団のサポーターとの待ち合わせ場所へと到着する。
「ようこそティエドール元帥とお弟子さんたち!」
にこやかに話しかけてくる人物に、私たちは弟子ではないけれど、とユキサが心の中で呟いていた。
サポーターの名は、ショーンというらしい。
挨拶もそこそこに、ショーンが急に真剣な表情で話し始める。
「あの。教団から元帥たちはこれから江戸へ向かうと聞いていたんですが…」
「そうだね。団服を受け取ったら、すぐに出発する予定だよ」
「すみません!少しだけ、調べて頂きたい事があるのです」
申し訳無さそうに言うショーンに、ティエドールが聞き返した。
「本当にすみません、急いでいると仰っていたのに…。ただ、江戸へ向かう途中にあるので、少しだけ寄って調べて頂ければ…」
「分かったよ、とりあえず詳細を教えてくれ」
はい、とショーンが言って、話を続けた。
「実は数日前から、とある研究所が多くのAKUMAに狙われていて…。あまりにも執拗に狙われているので、もしかしたらと調査をした所…」
「イノセンス?」
こくりとショーンが頷いた。
イノセンスがあるのなら、回収して置かなければ危険だ。
「その研究所があるのは、この辺りです」
地図を出し、今いる位置からもう少し東に行った所にある、とショーンが指を差した。