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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第12章 第十一話 夢現の大地


一言だけでも雪砂に声をかけていれば、近づかなかったかもしれないのに。
そうしたら、死なずに済んだかもしれないのに。

「ずっと後悔してて、でも前を向かなきゃって思って。雪砂は僕たちを応援してくれているはずだって。だけどこの世界に落とされてからまた分からなくなって」

でも、と不二が彩音を見つめた。

「さっきね、ユキサが言ってくれたんだ。まるで雪砂のようだったよ。僕はもう立ち止まらない」

『彩音が好きだ』と不二が言った。
ぽろりと彩音の目から涙が溢れる。

「あ、その…ごめん…」
「嫌だった?」
「ち、違うの!その…嬉しくて…」

涙を流す彩音を不二がそっと抱きしめる。
声を詰まらせながらぽつりぽつりと彩音が言った。

「私も、ね…雪砂がいないのに、幸せになっていいのかってずっと思ってた…っ!」
「うん」
「私も、周助が…大好きだったっ…!ずっと昔から…!」

お互い強く抱きしめる。

ふいに、2人の耳に歌声が聞こえてきた。

「この声…ユキサ?」
「綺麗な歌声…この歌、ララが歌っていた…」

顔を見合わせて、2人が笑い合う。

「じゃぁ彩音。僕たちは晴れて恋人同士になったって事でいいのかな?」
「うん…周助、浮気しちゃ駄目だよ?」

周助はモテるんだからね!と言った彩音に不二が困ったように笑う。
それは彩音も同じなんだけど、と不二は思っていた。

不二が彩音の頬に手を当てる。

「もちろん。僕は昔も今もずっと、こんなに愛おしいと思うのは」

―――――彩音しかいないよ。

囁きと共に近づいてきた不二を、彩音は目を閉じてそっと受け入れた。
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