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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第12章 第十一話 夢現の大地


「さて!君たちも疲れただろう、今日はこの町で休むとしよう」

ティエドールの言葉に一行は頷いた。

滅ぼされかけた町に、旅行者などほぼいない。
宿も1人一部屋取ることができ、各々ゆっくりと体を休めることにした。



コンコン、とノックの音がして、不二は返事を返した。
扉を開けるとそこに立っていたのはユキサだ。
少し話があると言ったユキサに少し驚きながらも、部屋へ招いた。

「不二。見てて分かってる事だけど、改めて聞きたい」
「え?」
「彩音の事をどう思ってるの?」

唐突に聞かれた事で、不二は目を見開く。
だがそれは一瞬の事で、不二はすぐに答えた。

「大切だよ。世界で一番、大切な子」
「じゃぁ何故傍に置かないの?」

一番近くで彩音を守っているのは不二だ。
どういう意味だろうと首を傾げるとユキサが言った。

「どうして『愛してる』と言わないの?」
「!…それは」

まさかユキサからそんな言葉が出るとは。
思わず言葉に詰まる不二に、ユキサは言葉を止めなかった。

「彩音も不二も、『彼女』の事を気にしているんでしょう?」
「………」
「だったら私が彼女の代わりに言ってあげる」

ぐっとユキサが不二の両肩を掴んだ。

『周助、もう素直になって!私は2人の幸せを願ってる。彩音をどうか…お願い』

言霊は使わない。
そんなもの使わなくても『彼女』の言葉は届くはず。

「ハハ…。そうだね…彼女なら、そう言うだろうね」
「あのね不二。彩音もきっと待ってるはずだから」

ずっと見てきた。
初めて会った時から2人を見てきた。
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