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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第12章 第十一話 夢現の大地


それから数日後、神田たちはヴァイヴェル大聖堂へ到着した。

「よ、よかった~…ここら辺の交通機関はまだ生きてるんだねぇ…」

帰りはなんとかなりそうだとホッとした彩音。
大聖堂があるこの辺りは、人が住める環境は整っていた。

大聖堂を見ながら、ユキサがおろしてと神田に言う。
この数日でユキサの熱はだいぶ引いていたが、まだ快復したわけではなかった。
少し躊躇ったが、神田はゆっくりとユキサをおろした。

「ユキサ、大丈夫?」
「大丈夫。…行こう」

頷きあって、4人が大聖堂の中へと入った。

天井は破壊されて空が見える。
壁もところどころにヒビが入っていて今にも崩れそうだ。
奥へ行くと、地下への階段を見つける。
階段は途中で崩れているが、下までそれほど深くはなかった。

「墓は…この下かな?」
「おそらくは」
「おりるぞ」

4人が軽々と地下へおりた。
地下は暗かったが、ところどころ天井の隙間から地上の光が漏れ出している。
なんとなく雰囲気がマテールに似ていると4人は感じていた。

入口をくぐった。
そこにはたくさんの墓が建てられていた。
いくつかは壊れたりしていたが、ここがルーイの話していた墓所なのだろう。
この広間の中央に、ルーイと国王が立っていた。

「来たね。随分遅かったね、待ちくたびれたよ…。あ、そうか、交通機関がなかったのか」

小さく笑うルーイに、神田が六幻を構えた。
そんな様子を見て、ルーイが目を丸くする。

「随分とお怒りのようだね。夢の中は幸せだっただろう?」
「ッ…」

ルーイの言葉に神田が口を噛む。
やっぱり、神田は覚えているのかとユキサが悲しそうな表情をした。

「君たちの望みをそのまま夢で見せていたんだ。幸せだったはずだよ」
「私たちの望み?」

そうさ、とルーイの目が光る。
けれども向けられた彩音は何の反応もなかった。
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