第12章 第十一話 夢現の大地
「ユキサ!?」
「だ、大丈夫…ごめん…」
「血を吐いて大丈夫なわけ…」
本当に大丈夫、と彩音の手を押しのけた時、彩音がハッとしてユキサの手を掴んだ。
「熱っ…ユキサ、発熱してない!?」
額に手を当て、次いで首も触られる。
ああ、どうりで頭がぼーっとするわけだ。
膨大な夢の量に、脳がショートを起こしたのだろう。
どうしよう、と焦る彩音を不二が落ち着かせる。
「とりあえず一度、ティエドール元帥の元へ戻ろう」
「いや、向かうのは元帥のところじゃない…」
「え?」
―――――ヴァイヴェル大聖堂。
その言葉に3人は顔を見合わせた。
「はい、僕たちはこのままヴァイヴェル大聖堂に…」
不二はティエドールと連絡を取っていた。
ティエドールに事情を説明し、夢が壊されたため辺りは荒廃し、交通機関が無いが大聖堂に向かう事に決めた4人。
数日かかるが、ティエドールの元に戻った所で結局また大聖堂へ向かう事になるだろうと判断しての事だ。
熱が治まらずぐったりして神田に寄りかかっているユキサの方へ振り返る。
傍では彩音が心配そうにユキサを見ていた。
「AKUMAたちが元帥の元へ行ったという事もないし、ユキサが言った通り、ヴァイヴェル大聖堂で待ち構えてるのかも」
「そうか」
「元帥たちも別ルートから大聖堂へ向かうって」
不二の言葉に立ち上がる神田が、ユキサに背中に乗れと声をかける。
うっすらと目を開けたユキサは大人しく神田の背に乗った。
歩き出す神田に続いて不二が彩音へ振り返る。
「今までの感じからAKUMAは出ないと思いたいけど、念のため警戒はしとこう」
彩音はその言葉にこくりと頷いた。