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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第12章 第十一話 夢現の大地


「僕は墓地にいるよ、国王と一緒にね」

待っているから、壊しに来なよ。
その言葉にユキサは一瞬目を見開いて、しかし光とともに意識を失った。



声が聞こえた気がした。

3人が目を覚ますと、そこは廃墟と化していた。
先程まで王宮のホールにいたはずなのに。
服装も元の団服に戻っており、装飾品も消えていた。

「一体…どういう…」「ユキサ!!」

呆然としていた神田と不二だったが、彩音の声に振り返った。
尋常じゃないほど顔色の悪いユキサを、彩音が抱き起こす。

必死の呼びかけが通じたのか、ユキサがゆっくりと目を覚ました。

「あぁ…よかった。3人とも、怪我はない?」
「ないよ!っていうか、これは一体どういうことなの?ユキサは大丈夫なの?」

痛むのか、頭を抑え顔を顰めながらユキサが話し出す。

3人はAKUMAに夢を見せられていた事。
それは相手の目を見て強制的に夢へ引きずる能力で、言霊で相手を強制できるユキサには効かなかった。
そのため同じ能力で対抗して、夢を全て破壊した事。

元々この国は、王子のルーイが作り出した夢の国。
他の国の支配下に置かれ、AKUMAに滅ぼされてしまった国が望んだ夢の世界だった。
夢を壊したことにより、辺りは完全な廃墟になっている。

「………」

神田は何も言わず、辺りを見回していた。

「夢って…何も覚えてないけど」
「私も…」

首を傾げる不二と彩音。
そんな2人の様子を見ながらユキサは何も言わなかったが、神田と目が合った時、ぎくりと体が小さく跳ねた。
神田が少しだけ、戸惑ったような視線をユキサへ向けていたからだ。

なぜ…。
夢は全部消したはずなのに。

途端に膨大な量の夢が頭の中を巡り、ユキサはその場に吐血した。
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