第12章 第十一話 夢現の大地
「待ってるね、ずっと…待ってる」
俺はずっと探してる。
探してた。
目の前に広がるのは蓮華の花。
その中で微笑んでいるのは…あの人だ。
「来たのね」
待ってたわ、と振り向く。
だが顔が見えない。
手を伸ばす。
あの人も手を伸ばしてくる。
無我夢中で引き寄せれば、暖かいぬくもり。
―――――あぁそうか、やっと会えたんだ。
『神田』
誰だ、俺を呼ぶのは。
邪魔をするな…。
『あの人を、探すのを手伝うよ』
あの人は見つかったんだ…だから。
『神田…神田…!』
「ふふ…ほら、3人とも幸せな夢を見ているよ」
地下牢の中に響き渡る声。
ユキサは聞いているのか聞いていないのか、その体を壁に繋がれている鎖に拘束されながら、遠い目をしていた。
ルーイは3人から視線を外し、ユキサを見る。
「君も幸せな夢を見られたら良かったのにね」
「………」
ユキサの顎に手をかけ、ルーイが瞳を覗き込む。
ルーイが瞳を光らせたが、やはりユキサに夢を与える事が出来ない。