第12章 第十一話 夢現の大地
「え?」
カップル…?
一瞬首を傾げたが、あぁそういえば周助と恋人同士になったのだった、とすぐに納得した。
数日前に私が告白したんだ、そうだった。
「いいなぁ小鳥遊さん、不二くんと恋人なんて羨ましい~」
「俺は小鳥遊さんの事好きだったんだけどなー!」
「ふふ、彩音は渡さないよ」
クラスメイトと不二の会話を、ぼーっと聞いていた。
なんだろうこの違和感。
何かが、誰かが、足りない……。……いない……。
―――――僕がいつだって望んでいたもの。
「ゲームアンドマッチ!勝者、不二周助!」
おおー!!と歓声が上がる。
息を整えながら、相手と握手を交わした。
「周助!おめでとう!」
お疲れ様、と彩音がタオルを渡してくる。
受け取った不二がにっこり微笑んだ。
そう、昔からの夢だった。
得意のテニスで勝って、マネージャーの彩音が支えてくれて…。
彩音がずっとそばにいてくれる。
それが僕にとって一番の幸せ。
「彩音…。僕と、結婚してほしいんだ」
「えっ…周助…?」
プロポーズ。
きっと彩音は照れながらも涙を流して喜んでくれるんだ。
『おめでとう』
僕たちにお祝いの言葉を送ってくれる彼女。
顔が見えない…。
「君は…誰だ…?」