第12章 第十一話 夢現の大地
ユキサが慌てたように言った瞬間、照明が落ちた。
「彩音…!」
「待て!」
彩音の元へ駆け出そうとしたユキサを神田が止める。
途端に響く国王の声。
「ここは何でも望むものを手に入れられる。そして王子は今宵、花嫁を手に入れた」
パッと王子と彩音にライトがつけられた。
周りにいた人々が喜びに満ちた声をあげる。
「彩音!」
「皆も望め。さすれば与えられん。私たちは自由だ、自由なのだ!!」
声高く笑う国王。
呼びかけても、ルーイの隣で彩音は動かない。
不二が走る。
「彩音!!」
「さあ、君も求めるんだ」
近づいてくる不二に、ルーイが呟いた。
―――――僕の求めるものは…いつだって…!
ルーイのその声を最後に、不二の意識が暗転した。
「神田!あいつの目を見ちゃ駄目!!」
「っおい!?」
羽のイノセンスを発動し、ガバッと神田の視界を塞ぐ。
その姿を見て、ルーイがゆっくりと首を傾げた。
「おや…?君は…どうして」
「あなたと同じだからよ」
「あぁ、なるほど…」
ス、とルーイが手を挙げる。
その瞬間、周囲の人々がAKUMAへと姿を変えた。
その気配と音に神田が反応を示す。
「羽をどけろ!」
「駄目…!あいつの目を見たら…」
「見なければいいんだろ!」