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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第12章 第十一話 夢現の大地


心ゆくまでパーティを楽しんでくれ、と言った国王へ、人々が喚起の声を上げる。

ふと、彩音が王子らしき男と目が合った。
その男がゆっくりと向かってくる。

「よかったら一曲、お願いできますか、お嬢さん」
「え…あ、あの…」

キラキラとした金色の髪に、透き通った翠の瞳。
しかし表情は何を考えているのか、読み取れない。

困惑する彩音をそっと後ろに隠し、不二が牽制する。

「僕の妻に何かご用ですか?」
「ただ一曲、踊っていただきたいだけです。…東洋人なんて滅多にお目にかかれませんし」
「羨ましいわ…ルーイ王子と踊れるなんて」

王子の言葉に少し嫌悪したが、周りがヒソヒソと話し始めたのを聞いて、彩音が口を開いた。

「あの、すみません。嬉しいお誘いですが私、踊った事がなくて」
「では練習ついでに一緒に踊りましょう」

教えてあげますよ、というルーイに彩音が不二へを視線を向けた。
不二は一瞬複雑そうな表情をしたが、彩音へ頷く。

何か情報を知る事ができれば…。

「本当に踊れないので…ご迷惑をおかけしたら、すみません」
「ふふ、気にしないで大丈夫。ここでは何事も自由に、そう、望むものも全て手に入る」

え?と聞く暇もなく、ホールに音楽が流れた。
ゆっくりと、ルーイと彩音が踊っていく。



「不二、あれは?」

一体どういう事?とユキサが不二へ近づいた。
神田も2人の様子を見ながらユキサの後ろからついてくる。

「…この国の王子、ルーイ様だって。何か情報を得られないかと彩音が行ったよ」
「大丈夫なの?」

少し心配そうにしている不二を見ながら、ユキサもルーイへ視線を向ける。
ルーイと目が合った瞬間、ユキサは体が硬直した。

「……やめさせないと」
「急にどうした、」
「あの王子は………!!!」
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