第12章 第十一話 夢現の大地
少し楽しみになってきてるのか、彩音が足を進める。
ドレスアップの次はメイクアップをしなければ。
「確か王宮の近くにそういうお店があったはず…」
「毎夜パーティがあるのならお店があるのも頷けるね」
まだ行く所があるのか、と神田が少し疲れたように息を吐いた。
あれからメイクアップも済ませ、4人は王宮へと向かった。
お店にて、彩音と不二はそのままだが、ユキサと神田は長い髪をおろされた。
ストレートの綺麗な長い髪で、そのままで絵になるからと店で言われたが、流石に邪魔だと神田は襟足の位置くらいで1つに括った。
「さてと…それじゃあ行きますか」
お姫様?と不二が彩音の手を取って王宮の中へ。
そのあとをユキサと神田が追った。
入った途端、綺羅びやかなホールが広がった。
たくさんの料理が並べられ、人々が楽しそうに談笑している。
ふと、入ってきた4人に視線が集まった。
正直に言えばこの4人はかなり容姿が目立つ。
彩音、不二、神田は顔立ちが東洋人で、ユキサも白い髪と赤い目を持つが、どちらかというと東洋寄り。
視線を集めないはずがないのだ。
ぽーっと見つめられる熱い視線に、4人はかなり居心地が悪かった。
「な、なんか凄く見られてる気が…」
「僕たちの姿は珍しいだろうしねぇ」
不二は彩音の手をしっかりと掴む。
夫婦のパーティといえど、どこから男が寄ってくるかもわからない。
「それじゃぁ分かれて情報収集を。…気をつけて」
「了解。そっちも気をつけてね」
そう言ってユキサと神田、彩音と不二の二手に分かれた。
「東洋人なんて、珍しいわね」
彩音たちと離れてからすぐ、興味津々といったように1人の女性が声をかけてくる。
神田が少しだけ嫌悪感を露わにしたが、ユキサがにっこりと微笑んで答えた。