第11章 第十話 奇妙な館
ス…と神田と不二が目を閉じた。
「これで終わりダ」
目を閉じた神田と不二にAKUMAの攻撃が襲いかかる。
「「そこだ!!!」」
バッと走り出したかと思うと、2人がAKUMAの顔にイノセンスを突き刺した。
明らかに先ほどとは違うAKUMAの断末魔に、4人は確信した。
ザン、と斬って閉じ込められていた空間から脱出した。
「ユキサ!顔が弱点だよ!」
彩音の言葉と同時に背後のAKUMAの顔へ、ユキサが大鎌を突き刺した。
するりとAKUMAから開放され、体が落ちていく。
地を蹴った神田がそれを受け止めた。
「ありがとう。大丈夫だから行って」
頷いた神田が戦闘へ戻る。
やはりこの地形が戦いにくい、そう思った神田が周りの棚を斬っていった。
それを見ていた不二やマリも顔を見合わせて頷き、斬っていく。
「ユキサ、大丈夫?」
視線はAKUMAへと向けたまま言う彩音に、ユキサがうんと返事をした。
辺りはどんどん壊されていく。
それを見ていたアルフォンスがわなわなと震え出した。
「やっ…やめてくださあああああい!!建物を壊さないで下さい!!ヤーンの屋敷は…僕の夢の出発点なんです!!!!」
「命が惜しかったら、そこでじっとしていろ!!」
アルフォンスの叫び声に神田が怒鳴る。
彩音とユキサが頭を抱えるアルフォンスをじっと見ていた。
命には代えられない、それがたとえ、どんなに大切なものでも。
神田の放った界蟲一幻を最後に、部屋の動きは止まった。
「これで隠れる場所は無くなったね」
全てを壊し尽くし見通しが良くなった部屋で、3体のAKUMAたちを見据える。
だが3体はにやりと笑った。