第11章 第十話 奇妙な館
天井の隙間から、アルフォンスが落ちてくる。
「クラウスさん!?」
「舞台を整えるって、彼のことかい?」
ティエドールの言葉に、AKUMAが全力で否定した。
「コイツは勝手に入ってきただけだ!!」
「戦いの舞台は今できる」
「すみません…どうしても気になって…」
申し訳無さそうに言うアルフォンス。
来ちゃったものは仕方ない。
ユキサがもう一度フォースフィールドを発動した。
しかし辺りがどんどん変化していく。
棚が、壁が、とにかくランダムに動き回っているのだ。
「フハハハハ!これだ!これこそが戦いの舞台!!」
「そして、お前たちの墓場となる場所だ!」
「ここは…形を変える部屋…!この屋敷で最も大掛かりな仕掛けがある部屋です!」
アルフォンスの言葉にめんどくさいと思った一同だが、ティエドールだけは面白そうにしていた。
各々散り、戦いに備える。
上からならば、とユキサが天井を見て羽を広げようとして、ティエドールに肩をぽんと叩かれた。
「元帥…AKUMAとの戦いにそんな事は言ってられないのでは」
「駄目だよ。キミ、今まで相当力を使っているでしょう」
言葉に詰まる。
確かにこの屋敷に来る前から歌姫<プリマ>はずっと発動したままだった。
強化と再生、おまけにアルフォンスの保護結界。
さらに道中のAKUMAの討伐をしていた体は、正直疲労で立っているのもやっとだった。
どうしてこの元帥には見抜かれるんだ、とユキサがため息をつく。
「戦いはあの4人に任せておきなさい」
「…分かりました」
ユキサがそう返事を返し、大人しくティエドールの言葉に従う事にした。
フォースフィールドを広げ、ティエドールも含めて守るように結界を張った。
ユキサは入れない、それが魔法の仕組みだ。
「ふむ…使い勝手が良くないね」
「今更ですね」
言ってから、ユキサは4人の戦いを見守った。