第11章 第十話 奇妙な館
羽を出そうとしてたユキサだったが、抱かれていて出せない。
そのまま身を任せていたら、穴の終着点へと着いた。
2人で降り立つと同時に、神田が六幻を構えて辺りを見回す。
AKUMAはいないみたいだねとユキサが言った時、別の穴からティエドールたちも滑り落ちてきた。
「本当にアトラクションみたい…」
「クラウスが言ってた通りだね。ヤーンが、その持てる遊び心をめいっぱい詰め込んだ屋敷なんだね」
「AKUMAはこんなところで何を…」
会話を聞きながらスタスタと扉に向かって歩いて行く神田。
ユキサがちょっと待って、と着いていった時だった。
ゴンッ!と大きな音がし、彩音たちが振り返ると、神田とユキサが額を抑えている。
どうやら扉が勢いよく開いたようで、2人共額を強打したようだった。
「だ、大丈夫!?」
「い、痛い…」
「ドアも床も、一筋縄じゃいかないよ、ここは…」
ティエドールがそう言いながら部屋を出る。
5人(ユキサは額を抑えながら)もその後を追った。
階段が下へと続いている。
ゆっくりと歩いていると、ティエドールがカチリと何かを踏んだ。
途端、階段がゆっくりと下へ動き出した。
驚いたユキサが咄嗟に羽を出したが。
「あ、ユキサちゃん、ここでは羽は禁止しよう」
「え?」
せっかくのからくり屋敷なのだからズルは無しだ、と言われて戸惑いながらも羽をしまう。
AKUMAたちがいる屋敷にいるため、歌姫<プリマ>を発動したままのユキサの体を気遣っているのもある。
羽は便利で、ついついすぐ使ってしまうユキサだが。
階段が終わると、長い廊下に出た。
壁には鹿や狼などの剥製が飾られてあり、その横に小さなボタンがある。
「ポチッとな」
「ちょ、元帥!?」
止める彩音をよそに、ティエドールが構わず押すと、その剥製の口から水が吐き出された。
剥製の下にいた者たちは皆水を被る。
「ゲホッ…元帥…」