第11章 第十話 奇妙な館
「ユキサちゃん。よければクラウスを守っていてくれないかな?」
遠回しに、ここにいろと言っている。
ユキサが小さくため息をつくと、ぶつぶつ詠唱を始めた。
「堅固たる光の守り…『フォースフィールド』!」
なんですかこれは!?と驚くアルフォンスの周りに、光の膜が包み込む。
ティエドールはやれやれと首を振った。
「私の力が続く限りは、絶対に敵は侵入できません。中からはいつでも出られます。…これでいいですか?元帥」
「うん…。まぁ、しょうがないね」
「もう…ユキサ、ゆっくり休んでればいいのに」
「無理はしてないから大丈夫」
気をつけて下さいね!というアルフォンスの言葉に、一行は屋敷の中へと足を進めた。
「うわぁ…」
彩音が上を向く。
どこに繋がっているのか分からないような道が、階段が、扉が、至るところにあった。
「迷路みたい」
「遊園地を思い出すね」
少しだけ楽しそうにしている彩音に、不二がクスクスと笑う。
「おい、行き止まりだ」
前を歩いていた神田が言った。
いきなり手詰まりかと思っていると、ティエドールが吊り下がっているロープを見つける。
「…これかな?」
「あ、ちょっと元帥!?」
彩音の制止も虚しく、ティエドールが引っ張った。
と同時に神田と、一緒にいたユキサの足元がパカッと開く。
「あ」
「神田ー!ユキサー!」
神田が咄嗟に隣にいたユキサを抱き寄せる。
「神田、あの…」