第11章 第十話 奇妙な館
ああ、とマリは頷いた。
ユキサの居場所が分かったようだ。
AKUMAたちの音もそちらから聞こえる。
「ユキサちゃん。キミはそこで待機してて。これからそっちに向かうからね」
『了解です』
「ユキサ、気をつけてね!」
彩音の声に返事をして、通信が切れた。
「マリ、案内を頼めるかい?」
「はい」
走る一行の前には、次々とAKUMAが現れる。
神田と不二が切り開きながら、後方は彩音とマリで対処をしていた。
またAKUMAがスゥ、と何処かへ逃げていく。
「待て!」
追いかけていくと、前方で大きな爆発音が響く。
森の開けた所に立っていたのはユキサだった。
背後には不思議な形のした建物が立っていた。
「ユキサ!」
「こ、ここは…ヤーンの屋敷!」
ユキサに駆け寄る彩音。
その後ろでアルフォンスが嬉しそうに叫んだ。
と同時に辺りに不気味な声が響き渡った。
「やっときたカ、エクソシスト…」
「あんまり待たせるもんだかラ、村人全員殺しちまったヨ」
「サァ、入ってこイ。楽しもうゼ」
3体のAKUMAがそう言って屋敷に入り込む。
「…罠、だろうね」
「関係ない。AKUMAをぶっ潰す」
「あぁもう神田!」
不二の言葉に耳も聞かず、神田が走り出そうとした所で、彩音が止めた。
ティエドールが後ろを振り返った。
さすがに戦場にアルフォンスを連れて行く訳にはいかない。
アルフォンスにはここで待っているように言いつけた。