第11章 第十話 奇妙な館
同時に神田たちの体も光り出す。
いつの間にかけたのか、ユキサの強化と再生の魔法だ。
「あ、あああ…」
「どけ!!」
驚いて立ち尽くしているアルフォンスを押しのけて、神田も降りた。
彩音、不二、マリも続く。
数はそう多くはない。
各々がAKUMAを相手にしていると、スゥ…とAKUMAの何体かが森の奥へ去っていくのが見えた。
「追います!」
「待て!!」
「ちょ、ちょっとユキサ!」
神田の制止を無視し、ユキサは1人、AKUMAを追っていった。
慌てて彩音が李を起こし、ユキサへついていくように命じる。
「チッ…元帥…!」
「う、うわあああああああ!!!」
神田が振り返ると同時に御者が猛スピードで横をすり抜けていった。
アルフォンスの横に立っているティエドールはあーあ…と呟いている。
「元帥、ユキサはどうしますか」
「大丈夫。無理はしないと約束してるからね。ちゃんと約束は守る子だよ」
それに彩音ちゃんがゴーレムを飛ばしてくれたから、と言ってティエドールは村へと足を進めた。
仕方なく歩きで村へと向かう。
村に到着すると村はしん、と静まり返っていた。
一軒のお店に入ると、そこは食事処のようだったが。
食べかけの料理と住人の衣類だけが残されていた。
「どうして…さっきまで人がいたみたいなのに…」
「AKUMAの仕業だね」
「AKUMAって…さっきのあの化け物ですか!?」
驚くアルフォンスをよそに、マリは音を辿っている。
誰も生き残りがいない。全員やられたのだろう。
ジジッ…と不二のゴーレムへ通信が入った。
「ユキサ?無事かい?」
『大丈夫。…AKUMAたちを追ってたら、奇妙な建物に着いたわ』
「建物?」
『マリ、音を拾える?』