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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第10章 第九話 沈黙の棺


「おい!!」

神田が抱き起こす。
あちこち傷だらけで目を覚まさないユキサ。
首には絞められた痕のようなものも見え、神田は眉を顰めた。

『どうした、神田!?』『彩音!?』

通信から聞こえてくるマリと不二の声。

「周助…っ!ユキサが…!」
『ユキサがいたの!?デイシャは!?』

ぴくりと、ユキサの指が動く。
神田がハッとしたようにユキサを見つめた。

「デイシャはいないの。スノウがユキサを運んできてくれて…」
「デイシャは…デ、イシャは…」

ユキサの声に彩音が振り返る。
神田の腕に抱かれたまま、ユキサは涙を流して謝っていた。



朝日が登る。
長い、長い夜が明けた。



「デイシャのゴーレムだ」

あれからマリと不二と合流した神田たち。
デイシャのゴーレムが飛んでいる地に立ち、見上げる。

そこには、街の街灯へ逆さに磔にされたデイシャの姿があった。

「あ…ああ…そん、な…」

―――――イエーガーの時と同じだ。
涙を流す彩音の肩を、不二がそっと抱いた。

「…ごめ、んなさい…守、れなくて…」

神田の抱かれたままのユキサが小さく呟く。

相手はノアだった。
自分はなんて無力だったのだろう。
例えノアだとしても、圧倒的な力の差を見せつけられた。

私たちは、勝てるの…?



「AKUMAの一部は、南の方へと向かっています」

バルセロナのファインダーたちに、デイシャの遺体を預ける事となった。
AKUMAを放っておくわけにはいかない。
そちらにティエドールがいる可能性もある。

悲しみに暮れている余裕は、なかった。

「…動けそうか?」
「もちろん」

神田に聞かれてにっこり微笑んだユキサは明らかに無理をしている。
彩音がそっとその手をギュッと握ると、ユキサがまた一粒、涙を零した。



「男のノアだった」

南へ向かいながら、ユキサが言った。
その言葉に驚いたように目を見張る4人。

「手も足も出なかった。私も、デイシャも」

それに相手はまだ本気を出していないようにも見えた。
そう言うとマリが複雑そうな表情をする。
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