第9章 第八話 魔女の棲む村
ぎゃああああ!と辺りに悲鳴が上がった。
「今の声…!」
ハッと声のする方へ彩音が振り向いた。
4人は顔を見合わせ、走り出した。
「ソフィアのお父さんが!!」
いち早くイノセンスを発動した神田が、ソフィアの父親を捕らえているAKUMAを切り離す。
その隙に不二が父親を抱えてその場を離れた。
「残っていたか…AKUMA…!!」
ダンッ!とAKUMAに足をかけた神田が、六幻で一閃する。
AKUMAは呆気なく爆発した。
「しっかりして下さい!」
彩音が声をかけるが、父親はすまない、許してくれと呟いていた。
癒しの術を施そうとしたユキサだったが、AKUMAのウイルスが入った体を治す事は出来ない。
程なくして…ソフィアの父親は砂となって消えてしまった。
墓へ手を合わせていた3人が、立ち上がる。
「行くぞ」
神田の言葉に、3人が頷いてダンケルン村へ戻った。
4人が村へ着くと、辺りが不気味に霧に包まれている。
道の真ん中で、佇む少女が見えた。
「おかえりなさい。どうしたんですか?起きたらあなたたちも父もいないので心配していたんですよ」
「ソフィア。話がある」
はい?とソフィアが返事をする。
「お前の父親が死んだ。村から出ようとしてAKUMAに殺されたんだ」
ソフィアの表情は被ったストールに隠されていて見えない。
そうですか、とぽつりと呟いたソフィアへ、ユキサが言った。
「ソフィアさん。…あなたが魔女なんですね」
「…。いいえ、違います」
「じゃぁ魔女の小屋に今まで住んでいた人は…誰ですか?」
ソフィアが黙り込んだ。
少しの沈黙の後、ソフィアがぽつりぽつりと話し始める。
「…この村には、魔女の伝説が残っています。村では昔から、変わり者で身寄りのない女に魔女の役割を与えてきました」
「役…割…?」
困惑したような彩音の言葉に、えぇとソフィアは続ける。