• テキストサイズ

【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第9章 第八話 魔女の棲む村


「彩音!不二!」

小屋の中のベッドで口と手足を縛られ、身動きが取れない2人がいた。
彩音のゴーレムの李が心配そうに彩音へ近づいていった。
彩音は起きているようだったが、不二は意識がない。
そしてその2人の傍にはソフィアの父親の姿があった。

「お前が黒幕か…!!!」

斬りかかろうとする神田に、彩音が焦ったようにして首を大きく振っていた。
その様子に神田がぴたりと足を止めた。
ユキサが駆け寄って口に当てられている布を取ると、彩音が口を開く。

「違うの神田!その人は私たちを助けてくれようと…」

どういうことだ?と神田が問う。

彩音の話によれば、目が覚めた時には既にここで縛られていたとの事だった。
不二も一緒だったが、意識はないままだった。

彩音の話を聞きながら神田が2人の縄を切る。

「その…私…。上手く言えないんだけど、自分でここに来た気がするんだよね」
「自分で?」

少し驚いたようなユキサに、うんと頷く彩音。

「夢を…見ていたの。大切な人が離れていく夢」

ずっと、ずっと追いかけて…。
手が届きそうな所で目が覚めると、ここで縛られていた。

一体どういう事だと考えていると、眠っていた不二がゆっくりと起き上がった。
嬉しそうに名を呼ぶ彩音も見ずに、不二が虚ろな瞳で辺りを見回す。

「周助…?」

不二の視線が、ユキサへと向けられた。
そしてふらふらとユキサへと手を伸ばしながら近づいてくる。

「………。雪砂……」

告げられた名前にユキサがどうしたのかと不二へ駆け寄ると…。
その体を、強いくらいに抱きしめられた。

「もう…僕たちの前から…いなくならないでくれ…」

不二の苦しそうな声と、固まっている周囲にユキサは戸惑う。
しかし先程の彩音の話を思い出したユキサはゆっくりと不二を抱きしめ返した。
/ 519ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp